男女がともに仕事に参加し、家事を担うのが当たり前の時代である。
男性だけが生涯、正社員、フルタイマーというわけにはいかない。
労働や社会の設計に当たっても、こうした分業や役割観念にとらわれない姿勢が求められている」JEC連合(日本化学エネルギー産業労働組合連合会)が二○○四年暮れ近くに開いた、今後の労働条件に関する中央討論集会用のテキストの一節である。
その通りだと思う。
非正社員という生き方が社会に根を下ろすようになると、「男性・正社員・世帯主」という、これまでこの国を支えてきた男性中心型の発想自体にも見直しが迫られている。
非正社員の時代は、雇用が不安定なだけに、稼ぐ人という意味での男性の頼りがいは、基盤がもろくなる。
たぶん今後は、夫婦共働きでないと、暮らしが成り立たない時代になる。
正社員であっても、成果主義の導入などによって、賃金は押さえられる。
成果主義はできる社員には厚く、ふつうの社員には薄く、を基本にしたものだ。
全体から見れば、賃金の上昇は抑えられる方向に働く。
いまどき、賃金のばらまきに資するような制度を、企業が導入そのような流れに、異を唱える動きもある。
男性には男性の、女性には女性の社会的役割があるという主張がそれだ。
男女にはそれぞれ社会的な特性があるという、「男女特性論」なるだろう。
だとすれば、夫婦いずれかが正社員であっても、やはり共働きを選択するカップルが多くその延長線上に、固定的な性別役割、すなわち男性はしっかり働き、女性はこれまたしっかり家を守るという考え方を維持しようという思想がちらつく。
私は新聞記者生活の晩年は、男女共同参画社会の形成という問題にかかわってきた。
男女共同参画社会とはジェンダー・バイアスから解放された社会、すなわち男だから、女だからというように、性によって生き方を規定されるのではなく、こういうふうに生きたいというそれぞれの自己実現の願望が尊重される社会のことである。
当然、男女特性論は否定の立場に立つ理念である。
性別役割分担も、そこに秘められた矛盾には気づいてほしい(ジェンダー・センシティブと言う)と思うが、といって否定するものではない。
たとえば専業主婦という生き方が、その人の選択の結果であれば、尊重するというのが男女共同参画の考え方だ。
戦後の流れを見てくると、男は外、女は内という生き方が、経済合理性を持った時代があった。
高度経済成長期である。
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